今回のテーマは「ダウンスキャン※」です。

はて、ごく普通の一般的な生活を営んでいる方々に於かれましては、日常の中で「おのれダウンスキャン! ぐぬぬ…」
などと頭を悩ます場面は、まず無かったりもしますが、一部のゲーム好きアラフォー、アラフィフゲーマーの方々にとっては死活問題だったりするのです。

かねてより本連載での課題事項として

・なんちゃらmini とかの16:9 720Pソースなどを15KHz化して筐体に接続した際に、4:3の全画面にきれいに表示することが出来ない(画面が切れてしまう)
(以前の記事はこちら

・JAMMA筐体以外でも、ブラウン管モニタに最近のゲーム機を接続したい


という悩みがありました。
今回はそれを(比較的安価なアプローチで)きれいスッパリ解消してみます。
(必要予算 約10,000円 〜 15,000円程度 + ブラウン管環境)

※ここでは31KHzのVGAの信号を15KHzにしたり、1080pや720pの信号を31KHzVGAなど下位の解像度に変更することを意図しています

メガドラミニをブラウン管に映そう!

RGBでキレイに映すには、ちょっとした機材と手順が必要なのです

メガドライブミニなどのHDMI 720p出力を、そのまま安価なHDMI>VGA変換アダプタを使用してブラウン管モニタなどに接続する際に、モニタ側が720p (16:9 1280×720)の解像度に対応していない旧世代機器の場合は、画面の下側がブツ切れ状態になってしまいます。
今回の記事は、まず、この記事を読まれている方のご自宅多くに現存するブラウン管CRT、特に旧世代CRT環境「PC-TV454、455」もしくは「CZ-600D」系統なんかをお持ちの方で、メガドライブミニなどのレトロ復刻ハードをキレイに接続したい! と思っている方なんかに特にオススメです。※
きっとアストロシティミニだって大丈夫(だと予想してみる)

※RGB大好きっ子以外の方への説明。上記モニタ型番は、RGB 15KHzから24KHz(640×400)、31KHz(640×480)など、旧世代の多彩なモードに対応した万能モニターTVとして、かつてはPC-9801やX68000ユーザー、はたまた家庭用ゲーム機をRGB接続するマニアの人たち御用達の機種だったのです。今でも人気でちょいと高価。

※【2020/12/18追記】アストロシティミニも大丈夫でした!

1万円握りしめてコレを買え!(ダイマ)

というわけで、本記事は毎度の販促記事なんだ。今回の商品はコレ。
給付金を片手にアキバの店頭に走ろう!

LENKENG HDMI UP/DOWN SCALER LKV323  当店価格 9,900円
LKV323本体 + HDMI>D-sub15 VGA変換アダプタ+ケーブルセット 10,780円

         こちらのページで販売中です!

HDMI入力、HDMI出力で解像度を変更する廉価スケーラー。
操作はOSDだけでなく、右ボタンだけでも出力解像度の切替ができます。
電源オフして後日動作しても直近の解像度が出力されるのが、なにげに便利!
こちらは当店セットモデル。ケーブルの分ちょっとお買い得になっています
入出力、仕様詳細などは販売ページをどうぞ
(上記画像内の価格は税別表記です)

HDMIを取り巻くコンバーター類は、アップスケール系は結構あっても、HDMIのままダウンスケールができる製品は、廉価なものではほぼありません。(RCAビデオ出力などにダウンスキャンするものは、低価格なものがたくさんあります)

もちろん映像・放送業界などの業務用製品にはHDMIスケーラーはいろいろありますが、さすがに自宅ゲーム目的に20万円クラスの製品とかはオススメしにくい。
というわけで、本製品は約1万円という価格でありながら、HDMI映像を様々な解像度にアップ/ダウンスケールが可能なHDMIスケーラーです。
下限は640×480@60HzのVGA解像度での出力が可能となっているため、スケーラーのHDMI出力側から1,000円程度の変換アダプタを使用して、そのままD-sub15ピンに変換するだけで、PC-TV455などのブラウン管にも接続できるというわけです。
31KHzのアナログRGB VGA信号に変換しているので、Win95以降のほぼ全ての一般的なブラウン管モニターでも表示することが可能ですね。

さて、実際にブラウン管に映したメガドライブミニと、メガドライブ実機を、可能な限り近い環境で比較してみたのがこちら↓

左がメガドライブ実機15KHz RGB。右がメガドライブミニHDMI>31KHz変換 VGA接続

はい、この撮影のためだけに大画面テレビを移動して、PC-TV454とPC-TV455を引っ張り出してきました。狭いながらも楽しい我が家(賃貸)
PC-TV454と455の違いはドットピッチの細かさで、455のほうが上位機種です。

メガドライブ実機(MD1+32X)の方は電波新聞社の XMD-3 を使用してPC-TV455に15KHz RGB出力。メガドライブミニは上記のコンバーターとVGA変換アダプタ、それにD-sub2段>3段変換コネクタを使用してPC-TV454に接続(31KHz VGA出力)しています。
実機のほうがBGの青色がオーバースキャンで外側に表示されていること以外は、言われないと気が付きにくい程度の違い…と言い切っちゃって良いのかは人それぞれですが、かなりいい感じです。

PC-9801/9821やX68000世代のCRTは入出力端子がD-sub2段なので、忘れずにD-sub変換アダプタを買って置かなければならない。古い機器を愛用されている皆さんはすでにお持ちかもしれませんが、手に入るうちに予備を買っとくのも吉です。いつ入手困難になるかわからないのが、この手の製品の宿命ですので。
2020年7月時点 Amazonでは 795円 で販売中
メガドライブ実機はブラウン管にRGB接続が至高。
PC-TV455の高精細感も相まって、走査線もくっきり
メガドライブミニ31KHz接続。走査線はないけど違和感は…ないですよ
メガドライブミニ収録のダライアスも、ブラウン管環境でステキ!
ネオジオミニ インターナショナル版を接続。
mini HDMIからHDMIに変換し、HDMIスケーラーに入力。あとはメガドラミニと同様です
ネオジオミニ側のアンダースキャン設定(黒枠あり小サイズ)
ネオジオミニ側で全画面設定。横幅いっぱいに表示されます(PC-TV側でも微調整可能)

このように、とってもステキなブラウン管環境が出来上がります。
令和の時代までブラウン管を保持し続けた豪の者たちは、いまこそ過去の青春時代の環境を再現するしか!

次は筐体に15KHzで接続だ!

ダウンスキャンコンバーター GBS-8100
こちらのページで販売中!

ここまででもブラウン管の魅力を満喫できましたが、このコーナーは「筐体DIY」ということで、さらに15KHzに変換して、アストロシティなどの15KHz環境に表示してみましょう。
さらに使用するダウンスキャンコンバーターは、当店でも3,480円+税 で販売している「GBS-8100」。
画像右上のCGA用端子部から、付属の片側オープンケーブルをJAMMAハーネスなどにハンダ付けする簡単な工作が前提となりますが、加工なしでもビデオ/S出力はできるイカした中華パーツです。
以前はこの製品だけで720pからの15KHz化を試みましたが、画面下部が切れてしまう現象を解決できていませんでした。
今回は、720p(1280×720) から VGA(640×480)の変換をHDMIスケーラーのLKV323、VGA(640×480)から15KHz RGBへの変換を GBS-8100 に担わせます。

とりあえず操作系は後回しで、表示だけしてみるテスト
画像も切れず全画面くっきり表示されてます

GBS-8100を単体だけで使用したときと違い、表示領域は全く問題なし。発色がちょい落ちますが、安価な構成ということで自分を納得させます。
2段変換ということで遅延速度が気になるかな? と思いきや、もともと液晶と比較したブラウン管の強みか、更にコントローラー側の変換を行わない場合は、さほど気にならないのでは…ないかと(このあたりは感覚的に個人差があります)
メガドライブミニだけでは味気ないので、ネオジオミニも接続してみます。

ぴったり解像度
モアレ感は撮影の都合で、実際はそれほどでもない感じ
以前の記事の時点でコンパネ操作も実現できているので、快適なプレイが可能
【2020/12/18追記】アストロシティミニも同じ方法で表示が可能です

ということで、比較的安価ながら当時の雰囲気を味わうための提案でした。

ちなみにブラウン管にこだわらず、4:3のスクエア液晶にアナログ入力といった程度の変換であれば、当店でも900円で販売中の HDMI>VGA変換アダプタ を使用するだけでも、液晶モニタ側の対応次第ではいい感じになります。
(720pの映像周波数にそのまま追従できる機種に限ります。かなり昔のモデルでも対応するものはあります)

古い液晶が余っている方も、まずは手軽なところから是非どうぞ。

ダウンスキャンとか一切行われていませんが、
900円のHDMI>VGA変換だけで 17インチ液晶に快適に720pの映像が映る一例。
捨て値のスクウェア液晶でも、発色と応答速度がそこそこであれば良い感じです